第53回 日本臨床分子形態学会総会・学術集会開催のお知らせ

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 このたび、第53回日本臨床分子形態学会総会・学術集会会長のご指名をいただき大変光栄に存じます。
 本会を名古屋で主管するのは、第17回(1985年)の名古屋市立大学・解剖学の渡仲三会長以来36年ぶりとなります。本学会の最大の醍醐味は、普段接することのない異分野の先生方と直接に顔を合わせてディスカッションするところにありますことから、実地開催を目指して実行委員の総力を挙げて準備をしておりました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の状況は予断を許さず、さらに変異株の出現、ワクチン接種の遅延という現状や緊急事態宣言の動向を勘案して、学会を実地開催からウェブ開催に変更することと致しました。それに伴い、会期を1日延長することと致しました。
 昨年に引き続いてのウェブ学会となりますが、多くの皆様から「大切なのは中身ですよ」と仰って頂き、ふっと霧が晴れたような心持ちが致しました。意識を変えて、分野を異にする多くの研究者の皆様に学会を大いに楽しんで頂けますよう全力を尽くします。お陰を持ちまして一般演題のご登録も100題に到達しました。会員の皆様、そして非会員ながらも(是非とも会員になって頂きたいです!)当学会に興味を持ってくださった皆様に心より御礼申し上げます。
 さて、本学術集会の開催地は「名古屋」となっておりますが、事務局は会期中、長野県・松本市に移動し、松本城のほとりでウェブ・オペレーションをします。そして、最後の会長講演と閉会式は、片渕秀隆前理事長をお迎えして名古屋のサテライトより発信します。開催の準備を進めながらウェブ会議の「自由さ」や「可能性」も実感しております。
 学術集会のメインテーマは「臨床・基礎研究のクロスオーバー」です。最近は学際的な研究、集学的な研究の必要性が大いに増しております。形態研究も、基礎研究と臨床研究の協調的発展が求められます。「名古屋」では、この認識を再確認し、臨床と基礎の研究者が一堂に会して健康と福祉の向上につながる成果を挙げたいと考えております。特別講演としては、小崎健次郎教授(慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター)に最先端の臨床遺伝学知識の形態学への応用について、また、山田泰広教授(東京大学医科学研究所 システム疾患モデル研究センター)には、遺伝子修飾によるがんの多様性という最近注目のテーマについてお願いしております。さらに、分子形態技術やその応用に関連したシンポジウム、ワークショップを企画しております。
 今大会のセッションを担当していただくオーガナイザーの先生方には、「異分野の研究者にもよく理解され、かつ最先端のトピックスのバランス」という、難しいお願いをさせて頂きました。他分野の話はリラックスして聴けるものだと思います。会期を通して多くの皆様に“耳学問”も楽しんで頂けることと大いに期待しております。
 

 

第53回日本臨床分子形態学会総会・学術集会会長
愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 副所長 永田 浩一